自己肯定感の低いセンパイを励まそう!
〜センパイとの日々を振り返る10問〜
美術系の学園に入学した俺。学園生活を送っていくうちに出逢ったのは……ちょっとズボラで自己肯定感が低いけど、めちゃくちゃ可愛いセンパイだった。
先輩との生活もそろそろ3年目。いい機会だし、先輩との日々を思い出してみよう。
そういえば、先輩と会ったのは————。
「う、うぅ………………」
校内を歩いているとベンチでぐったりしている人を見つけてしまった。寝てるだけ、には見えない。顔色も悪いし、明らかに辛そうにうなってる。
人通りも少ないし、俺がここで見なかったことにすると、この人は放課後までこのままなんじゃないだろうか。
どうする?
「う、うぉ……あ、ああ……」
俺が動こうとしたら海外ドラマのゾンビみたいな声をあげ、手を伸ばしてきた。怖くなって逃げそうになったところ、通りがかった3年生の先輩に助けてもらうことができた。
「……み、水……」
行き倒れている先輩にヒアリングをしていたところ、通りがかった3年生の先輩に助けてもらうことができた。
幸い今の季節は4月だ。春の気持ちの良い陽気に包まれているだけだろう。きっと具合が悪そうに見えたのは悪夢にうなされているだけだと思って、俺はその場を立ち去った。
4月、学校で行き倒れていた先輩を助けようとした。食堂かどこか連れてくつもりだったが、知り合いらしき3年生の先輩が来てくれてよかった。しかし、行き倒れの先輩には何か勘違いをされて————?
「本当はどこにつれこもうとしてたんだ?」
どうする?
「そうね……。いっそどこか連れ込まれて一度酷い目にあったほうがいいのかしら……」
結果的に誤解は解けたが、これでよかったのか?
「助けてくれた人になんてことを言ってるのかしら。先にお礼でしょう?」
3年生の先輩が誤解を解いてくれたので助かった。
「助けてくれた人にこんなこと言うくらいだものね」
3年生の先輩とだけご飯に行くことになった。行き倒れの先輩は落ち込んでいる。流石に言いすぎたか?
4月、学校で行き倒れていた先輩を助けた。この先輩、体の一部を除いて小柄過ぎるので、つい見てしまった。
「今、背の栄養が胸に奪われたとか思ったんじゃないか……?」
なんて答える?
「しかもふてくされてるから笑えないでしょ?」
3年生の先輩と行き倒れの先輩————杏センパイと仲良く話すことができた。
「いや、本当に思ってたのか。本当に何されそうになったか分からないな!?」
先輩から少し警戒された目線で見られた。
(いや、明らかに胸大きいし見てしまうけど)
先輩から疑惑の目線で見られた気がする。
3年生の先輩に連れられて作業部屋に来ることになった俺。1人で待っていることになったのだが、なぜか1人のはずの部屋から物音がする。
「……な、なんだ。どっか、崩れたのか?」
作業部屋らしく色々と物があって、崩れたり倒れたりしてもおかしくはない。
どうする?
「いわくつきなんて聞いてないぞ!」
1人で見知らぬ場所に居る時にで物音がして「気のせいか」で済ませられる程、俺の肝は太くない。自分の身の安全が第一だ!
「——うぅぉぁあ……」
うめき声がする。悪霊じゃなくてゾンビの可能性があるな。
「うぇ……あ、あー……昨日の後輩……? なんで、ここにいるんだぁ……」
どうやら行き倒れの先輩——杏センパイが寝袋で寝ていたらしい。こんなに可愛い先輩が寝袋で寝てていいのか!?
「ふぁ、あ……あぁ……あー……あん?」
3年生の先輩に案内された作業部屋で、俺は寝袋から脱皮する可愛い先輩————杏センパイと遭遇した。
寝袋に制服で寝ていたせいか、寝袋のチャックに制服が引っかかって大変なことになっている。
どうする?
「うぁ……お、おお……外れない? ん、んぅー……おー」
杏センパイが動くたびに余計制服が脱げそうになっていた。これ、大人しくしてもらってた方がよかったんじゃないか?
そのままだと大変な事になりそうだし、今ならまだギリギリ大丈夫……と言い聞かせて手を伸ばす。————結局、3年生の先輩が戻ってくるまで、寝袋のチャックと格闘することになった。
「うぁ……お、おお……外れない? ん、んぅー……おー」
杏センパイが動くたびに制服が脱げていく。そりゃゾンビの器用さじゃなあ……と思いながら、触るとセクハラになりそうなので特に何もしないでいた。
行き倒れていた先輩————杏センパイは、食費を切り詰めてアニメとか特撮のオモチャに使っているらしい。
「こう……急に限定版とか豪華版とか。復刻版とか、受注限定とかデラックスシリーズとか出されると。……分かるよな?」
なんて返す?
「そうよ、もっと言ってやって頂戴。私が言っても、全然聞かないんだもの。そのうち大変なことになるわよ?」
好きなものへの情熱はわかるが、杏センパイが心配だ。
「お、おおう……分からない方の人間か、後輩……」
杏センパイがシュンとしてしまった。好きなものを否定してしまったが、それ以上に杏センパイが心配だったから仕方ない。
「してるしてる」
してても追いつかないほどの出費なのならば、もっと考えるべきなのではないだろうか?
作業部屋で先輩たちや同級生とバイトの話になった。どうやら、杏センパイはバイトをしているらしいが、俺たちには少し言いたくないらしい。
「……後輩、一応聞いておくけど。なんか、こう、ほら。好きなコスプレとか、フェチなネタとか、あったりする?」
どう答える?
同級生や先輩に揶揄われながらも質問を回避すると、その後杏センパイのバイト先に連れて行ってもらえることになった。一体どんなバイトをしているのだろうか。
菅野先輩に無言の笑顔で見られた。自分の欲求には抗えない……!!
菅野先輩に無言の笑顔で頷かれた。猫耳……浴衣……何かを思い出しそうだ。
「あの、あえてデリケートな感じのとこぶっこみますけど、杏センパイ友達いないんですか?」
……どうやら本当に少ないらしい。同級生たちが構わず続けるが、杏センパイがどんどんかたまっている。
どうする?
「うんうん。先輩後輩だけど、友達みたいなものですよ」
なんだか自分で誘導しておいて可哀想になってきた。
杏センパイがカウンターの向こうでどんどん動かなくなってるみたいだから可哀想になってつい同級生を止めてしまった。
「普段は駄目な所ばかり見せてる先輩を友達、とは言いづらいわよねえ……」
先輩に"みたいなもの"を突っ込まれる。なんだか自分で誘導していて杏センパイが可哀想になってきた。
3年生の先輩に連れられて、杏センパイのバイト先を訪ねることになった。メイド服姿の杏センパイと同級生の会話が盛り上がっている。
「さっきからめっちゃ静かだけど。メイドさんの事を目に焼き付けてた?もしかしてめっちゃメイド好きだったりする?」
どう返す?
「そうだぞ! ここはそういうお店じゃないからって最初に言ったじゃないか……」
杏センパイに怒られた。
「杏センパイのメイド服撮影会……」
同級生のいけないスイッチを押してしまったらしい。杏センパイは断固拒否しているが、正直勿体無いと思う。
「……まあ、後輩がめっちゃメイド好きとかで、変な感じになんなかったのは良かった」
杏センパイが胸をなで下ろしていた。
作業部屋で下着の話になってしまった。杏センパイのバストが3桁になりそうという話をして女子勢が盛り上がる中、俺はひたすら空気を消していた。
「凄い、Iカップはなかなか聞かない」
「わたしたちなんて、まだまだ小物だったって話ですよ。ねっ」
急に話を振られた。
どうする?
「後輩が聞いてるとか、いろいろ無視するけど。これだけは言っておくぞ……? お前、下着の趣味。派手というか、かなりエロいからな」
女子の中で下着議論が加熱してしまった。もうしんどい。
「……。」
開きなおって宣言してみたところ、杏センパイからめちゃくちゃ引かれた。
今更ながら、割と色々話してしまった事に気づいたのか杏センパイが顔を赤くして俺から目をそらしている。
夏、杏センパイが風邪をひいたからと学校を休んだ。予定が空いているのは俺だけ。3年の先輩から様子を見て欲しいと頼まれたが……?
「様子だけ見て来てくれれば良いし、それにあの子のだらしない所なんて今まで散々見て来たでしょう?」
なんて答える?
「んー、そうね……そうねえ……。私も、杏だって子供じゃないんだからって言いたいんだけど」
3年のセンパイの歯切れの悪い態度が気になった。
杏センパイのところに行くと、センパイは病院にも行かないで具合を悪くしていた。心配して来て良かった。全然大丈夫じゃなかった。
「お願いね。杏が文句言ったら、もちろん私のせいにしておいていいわ」
冗談のつもりだったが、本気に受け止められてしまったらしい。
杏センパイと二人でプールに行くことになった。しかし、周りをキョロキョロして、落ち着かない様子の杏センパイである。
「いや、分かってるんだ。うちが自信過剰というか、周りはうちの事をそんなに気にして無いっていうのも……!」
どう励ます?
「それ世間ではなんて言うか知ってるか?」
間違えた例えをして怒られてしまった。が、結果的に和んだ杏センパイと楽しく遊ぶことができた。
「うう、やっぱうち、変なのかなあ……」
余計周りをキョロキョロして、落ち着かない様子の杏センパイになってしまった。
「根性論ストロングスタイル持ち出されても……」
杏センパイにはちょっと難しそうだった。
「——折り入って頼みがあります。何でもするんで、うちを助けて下さい……」
作業部屋で杏センパイが正座から頭を下げて、土下座っぽい姿勢になっていた。
どう対応する?
「そんなウソついてないから!」
何にも分かってなかった。彼氏くらいいるし!という嘘をついたのかと思った。
「やだなー何でもーなんて一体何を想像したのかなー? このこのー♪」
同級生にけしからん妄想をしていると思われてしまった。
「頼むぅ! 部屋の片付け手伝ってくれ!」
話を聞くと杏センパイの親がくるから片付けを手伝って欲しいということだった。同級生と一緒に先輩の力になった。
文化祭の中、委員の仕事で頼まれて屋上に行くと杏センパイが一人で屋上にいた。文化祭も理由があって楽しめていないが、そのことをお世話になっている先輩には言いたくないらしい。
「だから後輩、うちがここにいた事も言うなよ?」
どうする?
「はっ、秘密を守る代わりに何を要求する気だ……!?」
わざとらしく、俺を警戒してふざけて見せる杏センパイだった。
杏センパイと3年生の先輩との話をしながら時間を過ごした。杏センパイのことが少しわかった気がする。
2人だと出ない解決策も3人だったら出るかもしれない。俺はひっそりと3年の先輩に相談することを心に決めたのだった。
夏、建物の冷房はまだ電源が入らないようになっている。しかし、杏センパイは扇風機をどこからか持ち込んでいた。とはいっても夏服で半脱ぎなのはいかがなものか。
「はぁー……あー、あっつ……後輩、窓あけて……空気いれかえてー……」
先輩をとめる?
一悶着あって。なんとか杏センパイを説得して服を着せることに成功した。
杏センパイのあられもない姿が外に全公開されてしまい————そうになったので開けるのをやめた。我ながら良い後輩だ。
「どうせそっちからなら、背中しか見えないだろー……今は暑い……」
改善してくれる気はないらしい。
2年生に進級した頃、作業部屋で杏センパイから恋愛のドロドロ的な心配をされた。
「あの1年、割と押しが強そうというか、それで後輩を刺す刺さないみたいな話にならなきゃいいけどって思った」
どう返す?
「後輩、実はもう……!?」
杏センパイに誤解されてしまった。
「実際にもつれにもつれて、大変な事になったグループがあったの思いだしてな……?」
どうやら本気で心配しての言葉だったらしい。杏センパイは修羅場を目撃したからこその言葉だった。
「うちがそんな彼女っぽい演技とか出来ると思ってるのか……?」
杏センパイが不用意な事言うからなのだが、断られてしまった。
会話の流れから、もしも彼女ゲームが始まった。杏センパイが俺の彼女という想定で演技をすることに。早速、杏センパイに手を握られる。
「あんま意識してなかったけど、後輩の手やっぱ大きいな……」
なんて返す?
「まあな……。というか、あの。後輩、これうちも割と恥ずかしいんだけど。そっちは平気なのか……?」
杏センパイが必死に恥ずかしいのを誤魔化していて可愛かった。
「後輩の方からドキッとさせるゲームじゃないからな!」
杏センパイが恥ずかしさを超えて暴走している。
「お、おぅ。おもちゃにして悪かったな」
杏センパイが申し訳なさそうにしている。
作業部屋で杏センパイがイヤホンをしながらご機嫌に小さく歌ったりしててノッている。
ここはそれなりに緩い作業部屋だから周囲も温かい雰囲気だ。
どうする?
イヤホンをしているから気づかれなかったようだ……。
「楽しそうにしてたのをニヤニヤ見てたのか! そういうのやめろよほんとに!?」
その後、見守っていたのがバレた先輩と好きな音楽の話をして盛り上がった。
「うおああっ!? び、びっくりした!?」
思ったよりも驚かせてしまったらしい。
夏休み、女子たちと一緒に別荘に行くことになった。水着の杏センパイの自分は可愛くない発言に後輩が怪訝な顔をする。
「あー。何か自覚無くサークルの姫みたいになって、自分のクラスじゃギスってるんだったっけ」
どう返す?
「え……。パイセンってそういう方の趣味が?」
後輩から引かれてしまった。
「まー男共が勘違いすんのもしょうがないって思うけどねー」
周囲の空気を壊さずにまとめられた。
「でも、あんなロリ巨乳パイセンが仲良くしてきたら……」
いや、勘違いする奴が絶対に悪いんだ。人類悪なんだ。絶対におかしい。いいか、杏先輩は絶対に悪くないんだぞ。
夏休み、女子たちと一緒に別荘に行くことになった。昼間は水着の女子たちに囲まれて大変だった。
「誰の水着が一番良かった? 可愛いでもエッチでも、どんな理由でもいいから知りたいなー♪」
どうする?
「後輩……今更この状況で言わないのか?」
杏センパイは呆れた顔で笑っていた。
「うちが一番とか言い出したら、胸目当てか、もっと面倒なフェチだと思うんで、むしろ警戒する……」
逆に杏センパイの名前を出さなくて本当に良かった。
「後輩、もしかしてヤバいやつなのか?」
割と本気で言ってる奴だった。
夏休み、女子たちと一緒に別荘に行くことになった。何度か見ているにもかかわらず杏センパイの水着姿に思わず視線が持っていかれる。
「なんだ、変な顔して?」
どうする?
「後輩? 急に黙って大丈夫か?」
杏センパイに逆に心配されてしまった。だが、言うわけにはいかない。この秘密は墓まで持っていく。
「さっき杏センパイが、海行くのが珍しいとか、イメージ違うみたいな事言ってすみませんでした……」
無事、会話をして誤魔化すことができた!
「……マジか。いや、お前マジか。今までそんな興味無い感じ出してただろ」
正直に話したところ先輩に引かれてしまった。だが、水着は普段着とは違う。
作業部屋で突然1年生の後輩から告白された。そこに、杏センパイが割り込んで来た。
「うちが好きだから、付き合うならうちと恋人になって欲しいって話だよ!」
そう言い切ると作業部屋を出て行ってしまった。
どうする?
「追いかけないんですか?」
女子勢からの好感度がちょっと下がった。
この言葉を言うには度胸が足りなかった。
後輩に自分の気持ちをきちんと伝えて、杏センパイを追いかけた。
「わたしは、お試しとかではなくて。ちゃんと、先輩の恋人になりたいんですよね。そう言ったら、どうします?」
作業部屋で急に1年生から告白された。杏センパイはそれを聞いて出て行ってしまった。誰が何を言おうと俺が好きなのは杏センパイだ。
どうする?
作業部屋のメンバーからの痛い視線がきたが、今は杏センパイのことで頭がいっぱいだ。
作業部屋のメンバーからの痛い視線がきたが、今は杏センパイのことで頭がいっぱいだ。
きちんと後輩に杏センパイへの気持ちを伝えることができた。こういうところ、きちんとしないとな。
「うちだって、うちだって、去年からちゃんと、お前らより先に、後輩の事好きだったのに……!」
作業部屋で恋愛トークをしていると、杏センパイから勢いで告白された。杏センパイは顔を真っ赤にして作業部屋を出て行ってしまった。
どこから探す?
急いで校外に探しに行ったが杏センパイは見つけられなかった。
学校の屋上、基本立ち入り禁止になっている場所の隅っこに杏センパイは居た。見つけられて本当に良かった。
教室に探しに行ったが、杏センパイは見つからなかった。
(前略)杏センパイからみんなの前で告白された。が、俺と目が合うと全力で作業部屋から出て行ってしまった—。
「……ごめん、ごめんなあ。変な事言って、心配までさせて……うち、ほんとダメな3年生だよなあ……」
どう励ます?
「話はちゃんと聞きますし、待ちますから」
杏センパイの話をちゃんと聞いて話をすることができた。
「だって、だって。う、うちが、邪魔したから……1年生……あの部屋だって……後輩も……」
杏センパイはまだ混乱している。
「ははは、だよなあ……」
いつもみたいな開き直った返事も無く、杏センパイのメンタルが底に沈んでいった。
(前略)杏センパイからみんなの前で告白された。が、俺と目が合うと全力で作業部屋から出て行ってしまった—。
「うちが、いなければ……良かったのにな」
どう励ます?
「……ごめん、ごめんなあ。変な事言って、心配までさせて……」
杏センパイを傷つけてしまった。クソっ、なんでこんなこと言ったんだ?
「——そもそも、好きな人に居なくなられるのは、キツいです」
もう少し落ち着いてから言おうと思っていたけれど、俺はもうここで言うしかないと、密かに決意した。
こんな言い方じゃだめだ。杏センパイが必要なのはそういう意味じゃないし、向こうも納得しない。
(前略)杏センパイからみんなの前で告白された。が、俺と目が合うと全力で作業部屋から出て行ってしまった—。
「いいよ、うちの事なんてほっといて……」
どう励ます?
「……適当に、どっか行くから。後輩達に、これ以上迷惑かけられないし」
置いてかれた方は気にし続けることを俺は自身の経験から伝えることにする。
作業部屋の空気は杏センパイが何か言わないとおさまらないと思った。しかし、杏センパイを傷つけてしまったかもしれない。
確かに皆からラインが来るぐらい確かに杏センパイは心配されていた。ただ、俺自身が伝えたいことはそこじゃない。
杏センパイと付き合った。作業部屋でみんなと話していると、杏センパイの実家から浴衣が送られてきたが、杏センパイは写真だけ撮って済ますつもりなことがわかった。
「え、いや。実家に着たぞって写真送ればいいかなって。着てく先も無いし——」
どうする?
「えーっと、それってつまりデートって事でいいんだよな」
杏センパイをデートに誘うことに成功した。
「……いや、うん。分かった」
後日、杏センパイの浴衣の写真をGETした。だが、彼氏なのにこれでよかったのか?
「そういうのここで言うのか……!? 恥ずかしいだろうが……!」
杏センパイが真っ赤になってしまった。2人だけの時にいった方が良かったのだろうか。
杏センパイと付き合ってから初めての花火大会。どこか乗り気じゃなかった杏センパイがこういった。「恋愛物とかでさ、そういうヒロインが男側を信じられなくてすれ違うとか、初めて共感出来た」
「特にお前な。ほんと、ある程度仲良ければ、誰にでもいい顔するからな? 分かってるのか?」
なんて答える?
皆に対していい顔をしているつもりはなかったのだが、そう見えていたのだろうか。杏センパイはまた一つ恋愛物でよくある展開がわかったという顔をしていた。
「普段は保身というか、自己満足でやってますけど。センパイ相手は、見返りを求めてやってます」
先輩だけは特別だという思いをはっきり伝えた。はにかむセンパイの顔が見えた。
「それって、うちのことは皆と一緒ってことか?」
杏センパイに誤解されてしまったかもしれない。
杏センパイと付き合った次の日。1年生の手前で騒ぎを起こした手前、1年生の居る作業部屋に行くのが気まずい杏センパイが2年生の教室まで来ていた。
「あ、後輩……。これから、作業部屋行くんだよな?
なんて答える?
「…………。」
杏センパイが思うほど1年生は性格悪くないんだけどなとため息をついた。
1人で1年生達の所に行くのは気まずいし気が重い、というのも分かる。一緒に行こう。
1人で1年生達の所に行くのは気まずいし気が重い、というのも分かる。でも、後輩たちには自分も自分なりにきちんとしなければならない。杏センパイとのことを認めてもらうためにも俺は作業部屋に向かった。
(自己肯定感の低い杏センパイをちゃんとフォローできてたかな?)